蛍と光


「最低」



「最低はお前だろ。どうやったらあんな点数取れるのか聞きたいわ」



「先生の教え方が悪いんですよ。入試はちゃんと解けたもん」



地元で最難関という高校の校舎内にいる事が何よりの証拠。


今いるのは空き教室だけど、室内に置かれた机に座っているのは当校の生徒だからだ。



「お前…俺様の教え方を否定するとはいい度胸してんな」



恋人同士に相性があるように、教師と生徒にだって相性ってものがあってもおかしくない。



「相性が悪いのかも」



「喧嘩売ってんのかっコラッ!」



先生の大声は廊下を通り、階を下り、校庭にまで轟いた。


その声を聞き付けた陸上部、サッカー部、野球部、テニス部の面々がこちらを見上げている。



「先生。うるさいよ」



喧嘩売ったつもりは更々ないし。