「光」
『なに?』
今の光はどんな声なんだろう。
多分、他の男子と同じように声変わりをしているんだろうね。
聞きたいよ。
光の声。
『なんだよ、蛍』
「あ、ごめん。えっと…英語の教科書を貸して欲しいの」
『なんで?』
「…補習」
私のクラスは今日、英語の授業がなかった。
光のクラスに英語の授業があるのは昨日、光の机の上にあった予定表を見たから知っている。
だから学祭の準備を終えて帰ろうとしている光を捕まえたんだけど、鼻でフンと笑われるとは予想していなかった。
「笑うな」
『補習って…』
「光みたいな秀才じゃないから仕方ないの!」
『入試の点数、2点しか変わらなかったのに』
「受験の時がピークだったのかも」
『老化か』
「うるさい」
怒るとククっと笑う。
声は出ないけど、ククっと笑っているんだ。


