「せっかくの高校生活を楽しく送って欲しいからだって言ったらしいよ」



嬉しかっただろうな。


中学の先生でそんな風に言ってくれる先生はいなかったから。


クラスは別々だし、光はあまり学校での出来事を話したりしないから心配だったけど、クラスメートと先生に恵まれたんだね。


良かった。



「ちなみにイケメンの水城くんに夢中になるあまり、手話を覚える女子までいて手話クラブまで出来たって噂もあるよ」



「ほんと?」



それはまた凄い!



手話は必要ないけど、覚えてくれるその好意は光にとってすごく嬉しいだろう。



ただ、光は耳が聞こえない訳じゃない。



どんなに小さな音でもちゃんと聞こえる。


だからYesやNoは首の動きで表現するし、光が相手に伝えたいことがあれば筆談を使う。



「蛍と水城くんを見て、手話を覚えたいって思ったんじゃないの?入学当初、2人の存在って目立っていたもんね」