当時、言葉を話せなくなった理由を知っていた同級生は光をイジメたり、からかったりは絶対にしなかった。



でも事情を知らない他学年や他校の生徒は話すことの出来ない光を変な目で見て、そして興味を示し、からかった。



「もし光に興味本位で近付いてからかうもののなら絶対に許さない」



「蛍。顔、怖い」



「あ、ごめん。つい…」



光の事となると見境がなくなってしまう。


パンパンと顔を叩き、怖いと言われた顔を元に戻す。



「大丈夫だよ」



「え?」



「水城くんのクラスにいる友達曰く、話せない事がクラスの団結に繋がっているって言っていたから」



「団結?」



「うん。初めこそ興味本位だったのかもしれないけど、新山先生がきっかけを作って水城くんを含むクラス全員がまとまるようになったんだって」



「ほんと?」



ユカの情報を疑う訳じゃないけど、中学じゃあるまいし、先生が一生徒の事に口出しするなんてあるのかな。



しかもあの若くてチャラチャラした感じの新山先生が。