「ちょっと…今の何?」
「もう一度しようか?」
「はあ?」
お姫様抱っこ状態で近付いてくる光の顔。
頭をフル回転させて考えた結果出た答えは手で光の顔を押さえること。
「何してくれてるんだよ」
「それはこっちの台詞!なんだか混乱してるけど、今日は大事な卒業式なんだよっ!」
「はいはい」
そう言って光は私を降ろすと、なぜかマイクを手に取り、挨拶を始めた。
「みなさん、お騒がせ致しました。でもみなさんのおかげで大切なものを得ることが出来ました。ありがとうございました」
「良かったねー」
「ずりーぞ!水城ー!」
「幸せにねー」
そういう声が卒業生から飛び交う。
ていうかこんな卒業式ないでしょ。
「私が首席なのに」
「ここに立つのは2人でって決まりだろ」
「そんな決まりない…って、何してんの?!」
またさっきと同じように身体がふわりと浮いた。
そしてそのまま光がお辞儀して壇上から降りる。
みんなの拍手に包まれながらなぜか会場を後にした。