「うわ…綺麗…」



光が手を叩いた瞬間、眼下に広がったのは小さな無数の淡いヒカリ。



その瞬間、頭をよぎったのは新山先生の餞の言葉。




『蛍のヒカリは求愛だ』




「求愛…」



「そうさっき言っただろう?」



「そうだね…でも、みんなを巻き込んで…何やってるのよ」



「蛍だって手話で告白しようとしていただろ?」



「光にだけ伝わればいいって…」



「伝わったよ。ちゃんと伝わった。でも、言葉なんかなくても蛍の強い想いはずっと前からちゃんと伝わっていたんだ」



「本当に?」



「医学部目指しているのを知った時、本当に嬉しかった。距離を置くようになってもいつも俺のことをどこかしらで気にしてくれていたのも知ってたよ」



光が失恋しないか、光の病状が悪化しないか、いつも気にしていた。


こっそり見ているつもりだったのに、バレていたなんて恥ずかしい。


思わず顔を逸らしてしまうと、光の手が頬に添えられ、向かい合うような形になった。



「蛍。俺、蛍が好きだ」




「…えっ!?」




「なんで?何、その反応」




「だって光には他に好きな子が…」




「さっきもそんなこと言ってたけど、俺は蛍以外の女を好きになったことない」




「本当に?」




「本当」




「じゃあなんでこのタイミングで言うの?」




私の気持ちを知っていたくせに。




「勉強頑張ってたから。それに声が出るようになったと言ってもずっと話していなかったのと、その間に起こっていた声変わりとで普通にはなせるようになるまで時間が掛かったんだよ。だから今日になったってわけ」




「嘘みたい…夢?」




「夢じゃないよ」



そう光が言った瞬間、ふわりと身体が浮いた。



そして光が手元のヒカリをグルグルと回すとパッと明かりが点いた。



その眩しさに目を閉じていると、唇に柔らかい感触がして驚いて目を開ける。



と同時に聞こえてくるのは生徒たちの黄色い歓声と拍手。