「光…なの?」



涙が溢れてくる。



「声…光の声なの?」



「そうだよ」



「本当に?本当に話せるようになったの?」



「1年の夏から少しずつ出るようになっていた」



それはちょうど私と離れた頃。



「離れて…正解だったんだね…」



「蛍、泣いてるの?」



「ご…ごめんね、光。もっと早く離れていたらもっと早く声を取り戻せていたのに…こんな風に告白だってされたら迷惑だったのにね。ごめん。光…ごめんっ」



「違う!」


突然の大きな声に身体がびくっとはねてしまった。


恐る恐る見上げても暗闇の中では表情が見えない。


ただ、怒っているわけではない気がした。



「俺は…蛍の為に声を取り戻そうと頑張ったんだ。声が出るのはつまり姉ちゃんのことを克服した証拠だから。克服してから蛍に伝えたい想いがあったから。でも俺には言葉よりこっちの方が合ってる気がして、蛍には今日まで黙ってた」



「こっちの方?」



「これだよ」



そう言うと光は私の身体を会場内に向けた。