蛍と光


「水城の姉は精神的な病を抱えていたんだ」


「え?」


先生の言葉に反応して身体を離すと、眉尻を下げた先生が申し訳なさそうに私を見た。


「ごめんな。本当は知っていたんだよ。水城のこと」



「そう…だったんですか。えっと、それで?お姉ちゃんが精神を病んでたっていうのは本当ですか?」



「安定剤を飲んでいたらしい」



「安定剤…」



そんなの飲んでいたなんて知らなかった。


聞いたこともなかった。


だってお姉ちゃんはいつも明るくて、優しくて、元気だったから。



「意外だよな。でもそれが事実なんだ。ただ高校を卒業して好きな男と離れるようになってから症状は治っていて薬は飲んでいなかったんだけど、好きだった男が他の女と仲良くしているのを偶然目撃してしまい、症状が出てしまったらしい」



なんでそんなことを先生が知っているのかと思ったら、光のお姉ちゃんの想い人は先生の弟さんだと教えてくれた。