「青柳。よく聞け。恋と命は関係ない」
「え?」
「失恋しようが、想いが叶わなかろうが、普通は生きていけるんだ。現に失恋で命を失う者は少数派だ。それにお前が振った男達もみんなちゃんと前を向いて生きている。そうじゃないか?」
その言葉にハッとする。
まさか先生がそこまで分かっていたとは思っていなかった。
前に光が話せない理由を先生は知らないって言っていたから。
でも、光のお姉ちゃんのことを知らないで今の言葉は出ないと思う。
それと、私が告白を全て断ってきたのは光の事が好きだから、って理由だけじゃないことも先生は分かっているんだ。
もちろんお姉ちゃんの事が起こる前までは純粋に光を想っていたから断っていたけど、お姉ちゃんの事が起きた以後はその裏に”告白を断られた後の人の生活を見たい”という黒い感情があった。
告白してくれた人たちを実験台みたいにしてしまった事は本当に申し訳ないけど、恋が破滅を招くものなのか、それを確かめたかった。
「見えない部分で失うものもあるかもしれないけど、人は立ち直れるだけの強さを持ってるんだよ」
「じゃあ…じゃあどうしてお姉ちゃんはいなくなっちゃったの?どうして命を犠牲にしたのっ」
先生に当たるのは間違っている。
でも混乱して、感情がむき出しになってしまう。
いつの間にか泣き出していた私は先生にまたしっかりと抱きしめられていた。
しゃくりあげる私の背中を優しく撫でてくれる先生の手が優しい。
それが余計に涙を誘う。


