「青柳」
「はい…」
「俺の目を見ろ」
そう言われてもなかなか目を合わせずにいると、頬が両手で包まれて無理矢理視線を合わせられた。
「俺は青柳が好きだ。お前に好きな男がいたとしても」
先生は分かっているんだ。
私が好きな人の…光の事で身体を冷やしているって。
それなのに…
「どうして告白なんて…」
先生を見つめ返してそう聞くと、先生は真面目な表情を少し崩して微笑んだ。
「恋をするのは自由だろ?誰を想うのも、誰に想いを告げるのも」
「それが叶わないって自分で言っているのに」
「あぁ。叶わなくても自分が納得出来ればいいんだよ。たとえ振られようとも」
「でも振られたら悲しいでしょう?」
「そりゃそうだ。上手くいきたいって思うのが普通だから。でもな、恋は辛い事ばかりじゃない。成就すれば嬉しいし、成就しなくても誰かを好きになれた事は糧になる」
成就せずに命を失った人の事を私は知っている。
だから先生の言葉が間違っているとは思わないけど、受け入れる事も出来ない。
目を逸らすとまたさっきと同じように視線を合わせてきた。


