幸せって…温かいんだ。
光といた時にいつも温かい気持ちでいられたのは側にいるだけで幸せだったからなんだ。
それなのに私はそれ以上の幸せを望んでしまった。
光を他の誰にも渡したくないって思ってしまった。
光は私ではない別の人の温もりを求め始めているのに。
「最低だ…私」
光の幸せを願っているのに。
私じゃ幸せに出来ないって分かっていたのに。
勝手に傷付いて。
そんな私を見たら光は余計に傷付くのに…。
「先生も…ごめん」
先生の好意に甘えたりしたらいけない。
この温かさを私は返してあげられないから。
力一杯先生の身体を押すと先生は私を抱き締める手を緩めた。
ただ私の二の腕をがっしり掴み、顔を近付け、俯く私の顔を覗き込むようにして視線を合わせてきた。


