3年前の春。
私はこの高校に入学した。
新しい環境に期待と不安を抱きながら。
正門をくぐり、下駄箱に行き、ローファーから上履きに履き替え、職員室を通ってから教室へ向かう。
そんな些細な事にさえ気分は高揚していた。
1ヶ月も経てばその気持ちは忘れてしまうけど、今日はその気持ちを思い出す。
壁に貼られた掲示物。
出席番号順に並んでいるロッカー。
中庭が見下ろせる教室の窓。
クジ引きで決めた席。
そんな見慣れた光景、見慣れた景色がすごく愛おしい。
ここにはたくさんの思い出が詰まっている。
ここにしかない思い出が。
もちろん良い事もあれば嫌な事もあった。
楽しい事もあれば辛い事もあった。
でもそれ全て引っくるめて私の高校生活。
それが今日で終わる。