でも薔薇を見ればきっと蛍は姉ちゃんを思い出すと思っていた。



本数や色によって花言葉が違うんだと姉ちゃんが言っていた事も。



だからそれをあえて使って秘密の告白をしようとしたんだ。



「私にはあなたしかいない」


「愛しています」


そう伝わるように。


あわよくば蛍が応えてくれることを期待した。


でもそんな都合のいい話はないんだ。


俺は弱すぎた。


蛍の想いに比べたら俺の想いなんて全然覚悟が足りない。


姉ちゃんを理由に使っていたのだって間違いだ。


蛍のことを分かった気でいたのも。



俺は何も見えていなかった。



自分のことしか…自分が傷つかない事しか考えていなかった。



『俺は一体どうしたら…』



「それは自分で考えろ。でも忘れるなよ。16歳は今しかない。今という時間を大切にしろ。そしていつか想いを光らせるんだ。鳴いたっていい。それを待ってるやつがいることを忘れるな」




……………