忘れる訳ない。
首席入学を決めた俺に蛍が言ってくれた言葉なんだから。
でもなんでそれを新山先生が知っているのだろう。
蛍はそんな事まで先生に話すのか?
恋人だから…
『帰って下さい』
「…」
『帰れ』
「フッ。殴り書きか。お前らしくないな」
『お願いだから帰ってくれ』
もう俺を放っておいてくれ!
「分かったよ。でも最後に1つ」
そう言うと先生が取り出したのは見覚えのある紙。
それは個人用の順位表。
総合順位は張り出されるけど、各教科毎の順位はこの個人用の結果を見ないと分からない。
でも…
『これ、貰った』
「よく見てみろ」
先生にトントンと叩かれた名前の欄には「青柳蛍」と書かれている。
「よく見てみろ。全教科1位だ」


