『さっきから結局のところ何が言いたいのですか?』
「俺様が高校生の時には気が付かなかったんだけどな、こうして教師になってお前たちを見ていると生命感、活力、躍動感。そういったものをつくづく感じされられるんだ。水城、お前にもあるんだよ、生命力や躍動感が」
そう言うと先生は急に俺の方に向き直り首元の服を掴み、グイッと身体を引き寄せた。
「こんなところでウジウジしてんな!今を大切に生きろ!」
そんなの分かってる。
分かってるけど、どんなに大切に生きたって蛍が戻ってきてくれる訳じゃないし、姉ちゃんが戻ってくる訳じゃない。
声だって戻らない。
俺にはもう何もない。
何もないんだ。
「お前は勢いを自分で殺している。世界を狭めてる。ジジくせぇ。今時、還暦過ぎたオッさんだってもっと外に目を向けているっつーのに」
『俺の身になれば分かります』
外に目を向けても活動の限界を感じさせられる不自由さを先生は知らない。
だからそんな事が言えるんだ。
「そんなの”個性の一つ”だ、って言ってくれた奴がいただろ?まさか忘れたのか?」


