「両想いなのにな…」



「誰と誰が?」



脈絡のない独り言に山田が食い付いて来たけど、きっと山田も気付いている。


青柳さんの事を見ている男、もしくは水城を見ている女はみんなそう思うから。



それに俺は水城の気持ちを知っている。



生徒手帳に挟んである1枚の紙の切れ端。



それは水城が俺を友達だと認定してくれた時に渡してくれた紙だ。




長岡→友達→ライバル



そう書かれた紙。



あの時、最後の部分をどうしても青柳さんに見せたくなくて俺は切った。



でも2人の気持ちがズレている今、この紙を青柳さんに見せてあげるべきじゃないかと思っている。



俺は青柳さんの事が好きだけど、水城と並んで幸せそうにしている青柳さんが好きだと気付いたから。



ただ、2人の間に何があったのか分からないのに下手に動く訳にはいかない。



「水城…」


どうなっているんだよ。