中途半端な情報しかない山田にイライラする。
でも山田の言う必死さはなんとなく想像出来る。
なによりそれを俺は目にしているから。
蛍が出て行った後、新山先生は血相変えて出て行った。
あれが何か関係してるのかもしれない。
それが何かは分からないけど。
『ピンポンパンポーン
お呼び出しします
1年7組 青木さん
至急保健室まで来て下さい』
蛍と同じクラスの青木さん?
保健室?
まさか…
「あ、おい、水城ー。どこに行くんだよ?おーい!」
山田の声より放送委員の声の方が状況を把握出来た。
蛍は喉を痛めると熱が出る。
うがいをしろと言ったけどしなかったんだ。
あの顔。
メイクは濃かったけど、それとは関係なく少し赤かった。
だから引き留めたのに。
保健室に行かなきゃ。
気づいていたのに何もしてやれなかった。
せめて側に…
蛍が辛い時には側にいてやりたい。
そう思ったら固まっていた身体が動き出した。
山田を振り切って保健室に向かう。
と、その時、実行委員の女子が俺の手を取った。