それはどうなんだ、2番手の生徒にさせるべきだろ、と声が上がった。
「先生方のご意見はごもっともです。私もそう伝えました。でもその子が言ったそうです。『首席は光なんだ。声が出せないのだって、そんなのただの個性でしょ』って」
その言葉を聞いて先生たちの表情が変わった。
そして俺の胸に熱いものが流れた。
あの日見たあの天使。
きっとあの子だ。
あの子の言葉に違いない。
当日の挨拶は異例だった。
異例な事は時として強烈な印象を与える。
青柳蛍に人気が集まるのは時間の問題。
そう思った。
あの美しい笑みと並外れた慈愛の精神は人の心に温かい小さな火を灯す。
それは俺だけではなく、あの会場にいた傷を持つ人間全てに対して。


