「何があった?!」



震える水城の肩に触れるとわぁっと泣き喚き出した。



「もうイヤっ!なんであんな子選ぶの?!どうして私じゃダメなの?ずっと…ずっと好きなのに!」



初めて目にするパニック状態の生徒に俺は気が動転してしまい、水城のパニックの原因が何かすぐには理解出来なかった。



でも、水城の方は弟と似た顔の俺が側にいる事に気が付き、ギュッと俺に抱き付いてきた。



「私と付き合って」



「え?」



「付き合って!お願い!」



「いや、無理だろ」



彼女はいたし、教育実習の身だ。


生徒に手を出したなんて知られたら大変な事になる。



無理にでも身体を離そうと俺を抱き締めている水城の腕を取ると案外簡単に離れてくれた。



「お前なら他にいくらでも…」



そう言い掛けた時、水城が取り出したのはカッターナイフ。



カチカチと刃を出す音が室内に響いた。