当然、想い合っているんだと思ってた。
なぜか水城は付き合っている男がいたようだったけど、本当は誰が好きなのか、そんなのバレバレなくらい、いつも弟の側にいたから。
それを見て『あんな綺麗な子に想われてお前幸せだな』って弟に言った事がある。
でも意外な事に弟は美しさより可愛さ、気立ての良さよりおとなしい女の子が好きだと言い、『水城の事は恋愛対象として見た事ない』と言い切った。
事実、その数日後、弟は水城とは正反対の地味で目立たないような女の子と付き合い始めた。
そしてそれはあっという間に噂として広まり、2人は一躍時の人になった。
でもそのポジションが欲しかったのは水城。
だから2人の並んで歩く姿を見た水城は軽い癇癪を起こした。
あの時、ちょうど通り掛かった生徒会室から『ガシャーン』という物凄い音が聞こえた時は驚きと恐怖で身体が震えた。
その後も続く破壊音に慌てて入った室内は椅子や机がことごとくなぎ倒され、その中央に水城がいた。