その様子にフッと笑うと保健室の扉が開き、新山先生が入って来た。
「様子はどうだ?」
「だいぶいいみたいです」
「熱は…下がったか」
椅子から立ち上がり、場所を譲ると先生はそこに腰掛けず、蛍の額に手を当て熱を見た。
その先生の横顔に違和感を感じる。
なんだろう。
いつもの先生じゃない。
先生は綺麗な顔立ちを目立たさないよう3枚目を気取る癖がある。
でも今は素だ。
クールな先生がそこにいる。
「そんなに蛍が好きなんですか?」
「そんなに好きそうに見えるか?」
そう言った先生の蛍を見る目を見てハッとする。
先生はクールな訳じゃない。
むしろ熱い。
その熱さを隠すために軽く見せていたんだ。
「どうして」