「あ、ねえ。あなたここでこの子の事、みていてくれない?私もちょっと用があるのよ」
「いいですよ」
元々、蛍と私は午後からの当番で、午前中は自由に回ろうって話していたから、それが保健室だろうが大差ない。
それより蛍の方が心配。
今はぐっすり眠っているらしいけど、昨日、寝れなかったんだろう。
水城くんから離れたくないのに離れなきゃいけないって考えて。
さすがに何を言ってあげたらいいのか分からなくて、何も言ってあげられなかった事が悔やまれる。
私は兄妹が多くて、自分なりに同級生より精神的に大人だって思っていたけど、『同情的に付き合われたら余計にツライ』だなんてそんな風に言われてアドバイス出来るほど、私は恋を知らないし、大人じゃなかった。
それでも蛍は私を信頼して話してくれた。
嬉しかった。
普段もそう。
言葉数の少ない私に蛍はたくさんの言葉を投げ掛けてくれる。
『お高くとまってる』『何考えてるのか分からない』『怖い』なんて蛍はそんな風に思わない。
私をちゃんと理解して側にいてくれる。
こんな友達、他にはいないのに…