蛍と光


「いや。でも多分俺はお前を見つけられる」



「どうして?」



「お前が幼馴染みを見つけられるのと一緒だって意味だよ」



幼馴染みを見つけられる、か。



そういえば光はどこに行ったんだろう。


薔薇の迫力に胸打たれて忘れていたけど、当番だって言ってたからいるとばかり思っていたのに。



避けられてるのかな。



私も今は会いたくないって思っているからいないに越した事はないし、お互い様なんだけど、避けられていたとしたらなんか切ない。



「おい、コラ。無視すんな」



「あ!ちょっと頭触んないで下さい!」



せっかくユカにセットしてもらったウィッグが取れちゃう。


先生にくしゃくしゃにされた髪をちょいちょいっと直す。



「色気付きやがって。化粧も濃い」



学ランに負けないくらいの迫力を出すには多少なりともメイクは濃くしなきゃいけない。



その上、目が腫れてるから余計に濃くなっているんだけど、それでも出来る限り自然な感じに、って気遣ってくれたユカのメイクを触って落とそうとするなんてそんなの許せない。