「疲れたし、少しサボっちゃおー」



そう言って屋上に向かって歩き出したユカの背中を追う。



ユカは光と同じくらい優しい。



背中で語れるほど私たちは大人じゃないけど、背中から優しさが滲み出てる。



だからユカには話せる。



「私ね、恋愛の話しをするのがあまり好きじゃないんだ」



「うん」



「振るだの振られただの、それって聞いていて楽しいのかな、って思うの。幸せな話なら聞きたいと思うけど」



「うん」



「お互い傷付いているんだ、ってどうして分かってもらえないんだろう」



「うん」



「人様の恋愛をどうこう言って楽しいのかな?」



「うーん」



「ん?」



ずっと「うん」だったのが「うーん」に変わったのが気になってユカの方を見ると、頭の位置で腕を組んだままゴロンと横になり、空を見上げながら話し始めた。