蛍と光


光は失声症を患ってから一度も自分でそこに触れた事はなかった。



お姉ちゃんの事を思い出して辛くなるからって。



それなのに声を理由に使うなんて。



信じられない。



「あの応援で水城くん元気になってくれたかな?」

「笑顔で『ありがとう』って書いてくれたから少しは役に立てたんじゃない?」



そっか。



そうだよね。



光に元気を与えてあげられるのは私だけじゃないんだよね…



「それに『あなたたちがいいんです』って言葉もキュンキュンしちゃったー!!」



え……




『あなたたちがいいんです』?




私が応援してあげるから、って約束したはずなのに『あなたたちがいい』って光が言ったの?



どういうこと?



「もしかして私たちの中に好きな子がいたりしてー!」



好きな子?



光に好きな子……?



本当に?



だから私じゃなくて他の子に応援を頼んだの?



ウソ…



ウソだよね…