「イケメンと言えばさ〜、水城くんに指名された時は驚いたね」

「ほんとほんと。もう心臓鷲掴み!」



そうだ。


あれは一体、何だったんだろう。


光が立ち上がってからしばらくしていきなりみんなが大声で応援を始めたんだよね。



それが為に私が光の事を応援してあげられなかったんだけど、明日また来て貰えばいっか、って思えるほど迫力ある応援だった。



「青柳さんはメモ見てないから分からなかったんだね」



「うん。なんて書いてあったの?」



「『声が出ない俺には大きな声の応援が何より元気になるから』ってそういう意味の事が書いてあったよ」



「えっ、ほんと…?本当に光が自分で声の事を書いたの?」



「うん。本当だよ。ね?」



マネージャーさんが視線を向けるとみんなは同じように縦に首を振り同調した。



「あのメモに胸打たれちゃって。だから目一杯声張り上げたの。そしたらなんか吹っ切れた。青柳さんを羨んでもしょうがない、自分たちに出来る事をしなきゃ、って。声枯れちゃったけど」



アハハってみんなの笑い声が頭上を流れて行く。



でも私は笑えない。