しかもなんで長岡なんだよ。



廊下で盗み聞きしたのは申し訳ないけど、確かに先生は言っていた。



「長岡には負けない」って。



そして気付いた。



あの時、新山先生は俺の事を見ていたんじゃなくて、あれは俺の後ろにいた長岡見て微笑んでいたんだって。


すごく悔しかった。



ずっと蛍の事を想っているのは俺なのに。



声が出ないばかりに、『好きだ』と言える男に負けてしまうなんて。



さらに先生は俺と蛍の関係をこう表現した。



「お守り」



蛍は違うって言っていたけど、周りにはそう見えているのかもしれない。



もしかしたら蛍も…



「…う?光?」



『?』



「どうしたの?さっきから呼んでるのに」



『いや…悪い。それより出来たのか?』