「すぐに戻せるよう簡単に裾上げして貰おう。お母さんに」



『自分でやれよ』



「裁縫得意じゃないの知ってるくせに」



『…そうだった。蛍にやらせたらズボンを短パンにされるんだったな』



家庭科の授業で作った胸当てタイプのエプロンが一人だけ前掛けタイプになった事を言いたいんだろうけど、そこは頑張ってやってみろよ、とか口先だけでもいいから言って欲しかった。



この思い出の詰まった学ランを切る訳にはいかないから絶対に手は出さないけど。



「大事に使わせて貰うね」



『あぁ』



学ランを脱ぎ、元通り、ハンガーに掛け直す。


「それにしても光って急成長したんだね」



中学に入学した時は私の方が大きかったのに。

いつの間にか追い越されてたんだ。


この前の身体測定で私の身長は165センチだった。


そこから光は頭ひとつ分大きい。


180センチ近くあると見て間違いなさそう。



「ずっと背の順で前の方だったのにねぇ」



『しんみりするな。ババくさい』



「ババくさい!?」



同い年の女子に向かってそんなこと言うなんて酷すぎる!