「いない。」



医務室へ行き薬を貰った帰り、一課を覗くも棟郷の姿はなかった。



もしかしたら……、

何となくの勘で思いついた場所へ向かう。



「いた。」



見事勘は的中し、棟郷は屋上にいた。



「管理官がサボっちゃ、マズくないんですか?」


「っ……吹蜂。」



いつもみたいにふざけて話しかけたのに、返ってきたのは嫌味でもなく怒鳴り声でもなく。


驚いた表情でこちらを見る棟郷だった。



「なんですか、人をオバケみたいに。一課にいないから、こんなとこまで来ちゃったじゃないですか。」


「………じゃあ、こんなところまで何の用だ?」



棟郷に問われ、威叉奈はここに来た目的を思い出す。



「昨日、管理官が運んでくれたんですか?朝起きたら家だったんで。トクさん知らなかったし。」



「あ、ああ。」



「そうですか。それはご迷惑をおかけしました。昨日のこと、飲み始めた辺りで既に記憶なくて。私2,3杯ぐらいしか飲めないのに、今日二日酔いになるぐらいだいぶ飲んだみたいで。」