「一課って、よっぽど暇みたいで、羨ましいですね。」


「みたいだな。まあ無視だ、無視。いちいち気にしてたら、やってらんねーよ。」



「関わるだけ、時間の無駄ですよねー」



事件の手柄を奪い合う立場の一課とは、基本的に仲が悪い。


従って、小競り合いは日常茶飯事である為、威叉奈達は張り合うこともなく足早に立ち去ろう………



「吹蜂。ちょっと来い。」



と思ったら、一課の管理官で賭狗膳の同期である棟郷誠人(トウゴウ マコト)が、威叉奈を呼び止める。



「えーなんですか。私、何もしてませんけど?」


「いいから来い。」



「えっ…ちょ…!引っ張んないで下さいよー」



賭狗膳と早乙女が止める間も無く、棟郷は嫌がる威叉奈の腕を掴み連れ去った。



「なんなんだ、あいつ。」


「さあ?なんなんでしょうね。」



嫌味を言い合う賭狗膳でもなく、新入りの早乙女をなじるでもなく。


威叉奈が目的の如く連れ去った棟郷の行動の意味が分からず、2人は首を傾げるのだった。