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「俺だって最低なんだよ。
泣いていた透子に何も言わないで、別れたんだから」



はぁ、と溜息をつく。

しかし俺は何故、言いだしっぺとは言え、名前と学年ぐらいしか知らないスズに色々話しかけているのだろうか。




「……駄目だよ、そんな別れ方」


「は?」


「今すぐ透子さんに会いに行かないと!
透子さん、今どこですか!?」



スズの勢いに負け、俺は口走っていた。



「えっ?
た、多分東堂(とうどう)ホテル。

今日兄貴と透子の結婚式だから……」


「ええ!?
じゃあ今から行かないと!」


「はっ!?
何言っているんだよスズ!

おいスズ!ちょっ待てよ!!」




スズは俺の手を引いて走り出す。

急いで鞄を肩に掛ける。




スズ…お前、何考えているんだよっ!?