「鈴、お願いがあるの!」



3日ほど経ったある時、葉月があたしに1枚の紙を差し出しながら言った。




「鈴。
私と一緒に、サッカー部のマネージャーにならない?」


「ま、マネージャー?」


「うん…。

ほら、私って1年生でしょ?
3年生の海先輩に会うチャンスなんてないから…。

マネージャー募集しているって、聞いたんだ。
私、マネージャーとして、海先輩の役に立ちたいの。

…でも1人じゃ不安だから…。
鈴、一緒にマネージャー、やってくれない?」





正直断ろうと思った。

いくら大事な幼馴染で親友の頼みだと言っても、葉月と海先輩が話している姿なんて見るの嫌だ。

だけど葉月の目は必死そうで。

あたしはいつの間にか頷いて、葉月から貰ったマネージャー希望用紙に、名前を書いていた。





数日後。

サッカー部顧問の先生から、新しいマネージャーとしてあたしたちが紹介された。

それぞれ自己紹介をしていると、サッカー部から黄色い声が上がった。



「おい!
岩清水(いわしみず)葉月って、1年生で1番可愛いとかって言われている子じゃね?」


「マジで!?
そんなに可愛い子がマネージャーとか…。

嬉しくね!?海も思わねーか?」


「……ん」




普段無口らしい海先輩は、それしか言わなかった。




ちなみに葉月が可愛いとか言われるのは慣れている。

それは本当のことだし、何より葉月は性格が良い。

あたしの自慢の、幼馴染で親友なのだ。