「何かさっきから、俺らハモること多くね?」


「ねっ。
おばあさんからみかん貰う時もハモっていたし」


「気が合うんじゃね?俺ら」


「アハハ、そんなわけないし」


「……ひでー。
少しぐらい肯定してくれよー」


「えー?
同じことを思って、同じことを口にすることが多いんだってことは認めるけど」


「それ、気が合うって言うんじゃね?」


「えっそうなのかな?」


「まぁー良いか、細かいことは!
スズ、俺の帽子持ってて」




帽子をあたしの方へ投げる太一。

あたしは受け取った…のは良いものの。




「あーっ太一!
あたし、海に手をいれてビショビショの手で掴んじゃった!」


「何しているんだよーっスズ!」


「あたしへ投げる太一が悪いんでしょ!?」




結局あたしたちは海から離れて、砂浜に座った。

太一の濡れてしまった帽子は、太一の鞄の上で干されている。




「あー、夕焼けって良いなぁ…」


「本当。
普段こうして眺めることってないもの。

こうしてぼんやり眺めるのは久しぶり」