いつも、小さくなって歩いていた廊下。



顔を俯け、前なんか見なかった私………。




だけど、前を向かなかったら雪の屈託のない笑顔も



雄也くんの優しい微笑みも…何も見れなかった。




前を見てればいい事があるって事……皆が教えてくれた。



だから、これからはもっといいことがある!



そう思うと、俯いていた顔はしっかりと前を見据え



小さくなるために縮めていた背骨は、しっかりと伸びた。




まっすぐ前を見て歩く廊下は、いつもと変わりないのに、私の中では全くの別物だ。




窓から入ってくる優しい朝日も、遠くから聞こえてくる挨拶の声も……



何もかもがキラキラしてる。



雪との「おはよう」で私の今日が始まり、雪との「また明日」で私の今日が終わる。



私は、今や雪なしじゃいられない。


だから……恋ちゃんにはわたせない………。



だって、雪が好きだから。