「ふぁぁぁあ…あれ、桜?今日早くね?」


それから約1時間後、遠くの大学に行くためにいつも早起きなお兄ちゃんが



私に近づいてきた。




「ははは…、お兄ちゃんおはよ」


「あぁ、はよ………………って、なんだよこれ」


「へへへ」


愕然としているお兄ちゃんの前には



綺麗だった姿なんて跡形もなくなってしまった我が家のキッチンの哀れな姿が…。




「桜…、もしかしてなんか作った?」



恐る恐る聞くお兄ちゃんにムッっとしながらもコクンと頷いた。



「はぁ…、お前料理できるくせに何でこうも効率が悪いんだよ。


手だって包帯だらけじゃん」


「ぅう…」


「しょうがねぇな」




不器用な私とは正反対なお兄ちゃんが



私が不器用な手で巻いた汚い包帯を綺麗に巻き直してくれた。




「ありがと」


「ってか、お弁当って………彼氏にか?」


「なっ………」


「この前の朝帰りも彼氏とだったりぃ~」


「お、お兄ちゃんの馬鹿っ」




ほら…、だからばれたくなかったんだよ~。


お兄ちゃん、何気に勘が鋭いからな…。