「んじゃ、これからは桜って呼ぶね」


さっきまでの真剣な顔はどこへいったのやら……、雪は満足げな顔をして言った。



呼び捨てって…………。

なんだか恋人同士って感じがする。


でも、そういえば私……雪の事ずっと呼び捨てで呼んでた…。

だから、私としては何一つ変わった事なんてない。


私達、本当に付き合うんだよね?


「桜、こっちむいて?」


雪の顔が直視できずに、気を紛らわすために窓の外を見ていた私。


そんな私に雪が話しかけた。


「なに?」


そういって雪の顔を見ようと振り返った瞬間、



――――ちゅ




そんな音と共に、唇に柔らかくて温かい感触。


目の前には、雪の顔。


……私、雪にキスされてる?




「ぃやっ!!」



―――…ドンっ



突然の事に驚いて、雪に支えられていた腕を力ずくで振りほどき、雪をおもいっきり突き飛ばした。


しりもちをついて、突然の私の行動に驚く雪と、自分のやってしまった事に驚く私の驚いた目が合った。



……付き合ってるのにキス……拒んじゃった。