コンコン

「優菜、準備できた?」


控え室に響く控えめなノックの後に聞こえた声は、親友の音羽ちゃんのもの。


「うん、入っていいよ」


ガチャ


「わぁ……
優菜、綺麗……」

「えへへ……
ありがとう」


お礼を言いながら音羽ちゃんに抱きつく。


「優菜、だめだよ
せっかくのドレスとヘアメークが崩れたらどうすんの

それに、最初に抱きつく相手間違えてる」

「……いーの、私音羽ちゃん大好きだから」


もう……なんて言いながら背中をポンポンしてくれる音羽ちゃんは、高校を卒業してからもずっと私の面倒を見てくれた。