「ふっ、奥村先輩 俺、里田さん諦めませんから 絶対奪ってみせますよ」 「は?何言ってんの 優菜は誰にも渡さないから つか、その汚い手で優菜に触らないでくれる?」 だいたい、奪われても奪い返すし。なんて言いながら佐野くんを冷たく見下ろし、言い放つ先輩は、犬猫系というより、虎系かもしれない。 「優菜、いくよ」 先輩はそう言って私の手を引いて図書室から出た。