◆彩葉side◆



ある日の放課後。



窓の外は、少し傾きかけた陽の光。



グラウンドから聞こえる、サッカー部や野球部の威勢のいい掛け声。



廊下には、生徒たちの足音や笑い声。



その賑やかな音の中を通り抜けて、教室を出ていく陸斗くんの少し後ろをあたしは歩いていく。



陸斗くんが向かった先は、今日も図書室だった。



放課後の図書室は、



さっきまでの賑やかさが切り取られたような、静かな空間だった。



壁に掛けられている時計の秒針の音が、ハッキリと聞き取れるほどだ。



図書室にいるのは、陸斗くん以外に図書委員の人と数人の生徒だけだった。



陸斗くんは本棚から一冊の本を手に取り、カバンを机の上に置いてイスに座る。