陸斗くんに好きな気持ちをアピールするには、どうすればいいのか考えてみた結果。
せっかく隣の席というチャンスが与えられているのだから、それを存分に活用して行動してきた。
朝、明るく笑顔であいさつをする。
いい匂いのシャンプーや香水で、女の子らしい甘い香りを漂わせてみる。
消しゴムを借りるとき、さりげなくボディータッチをしてみる。
授業中、横顔をジッと見つめてみる。視線に気づかれたら、さりげなく逸らしてみる。
冷たくされても、めげずに話しかけてみる。
休み時間、持っているお菓子をわけてあげながら、話すきっかけを作る。
放課後、一緒に帰るためにずっと待ち続ける。
いろいろ頑張ってはきたけど、陸斗くんとあたしの距離はどれほど縮まったのだろうか。
無視されることは、ほとんどなくなった。
時々、陸斗くんのほうから話しかけてくれるようにもなった……9(あたし):1(陸斗くん)の割合で。
でも、いまだに電話番号も教えてくれない。
バス通学してることは知ってるけど、陸斗くんの家がどこにあるのかも知らない。
そして相変わらず、彼は笑わない……。