休み時間、夏樹に世界史の教科書を借りに行こうと、私は隣のクラスに向かった。 廊下に出た瞬間、相変わらず2組の教室のほうからは、明るい賑やかな声が聞こえてくる。 2組の教室の入口で、私は夏樹の名前を呼ぼうとした。 「……っ」 だけど、息を吸っただけで声を発さなかった。 夏樹の名前を呼ぶことができなかった。 ――ズキンッ。 心臓を鷲掴みされたかのような、そんな胸の痛み。 私の視線の先には、 夏樹と彩葉ちゃんが机に腰かけながら、楽しそうに話している光景があった。