朝、下駄箱で靴を履き替えていたら、夏樹と彩葉ちゃんが正門前にいるのが見えた。
私がふたりに向かって大きく手を振ると、彩葉ちゃんに背中を押された夏樹が私のほうへ走ってくる。
陽の光に照らされた彼の姿が眩しい。
私の……大好きな彼氏。
「おはよう、夏樹」
そう言って私が笑顔を見せると、夏樹は「おはよ」と言うのと同時に、私の頭をポンと優しく叩いた。
「彩葉ちゃんと一緒に来たの?」
「うん。橋の近くで会ったから」
「そっか……。あ、ねぇケガの具合どう?」
「大丈夫っ。すぐ治して、また頑張るから」
いつも通りに明るく振舞ってる夏樹だけど、きっと、つらいはず。
せっかく1年でメンバーに入れたのに。
日曜日の試合、出られないの悔しいだろうな。
相手の高校には、中学の頃に悔しい思いをしたライバルもいるから。
夏樹が試合に負けて涙を流したのは、中学のときのその1度だけ。
あれから、そのライバルに勝つために必死に練習してきた。
「ねぇ、夏樹……」
「ん?なに?」
私は、夏樹にぎゅっと抱きついた。



![春、さくら、君を想うナミダ。[完]](https://www.no-ichigo.jp/img/issuedProduct/10560-750.jpg?t=1495684634)