「たんぽぽ……?」
不思議そうな顔であたしを見る夏樹は、立ち止まって振り返った。
「そう。たんぽぽの花ってアスファルトでも咲くし、誰かに踏まれても咲く強い花でしょ?」
パパもママも。
幼い頃、よくあたしに言った。
このたんぽぽみたいに。
「“倒れても、また立ち上がればいい”って」
あたしは満面の笑みで夏樹を見る。
「今回は残念だったけどさ。ケガちゃんと治して、また頑張ろうよっ!きっと……ううん、絶対。これで終わりじゃないよ」
「彩葉……」
「また、いつか……その人と試合できるといいね。そのときはさ、絶対にぜーったいに勝とうよ」
そう言ったあたしの顔を、夏樹は見つめたまま黙り込む。



![春、さくら、君を想うナミダ。[完]](https://www.no-ichigo.jp/img/issuedProduct/10560-750.jpg?t=1495684634)