「中学のときさ、他校のやつでめっちゃうまくて、そいつにボロ負けしたことあってさ。日曜、そいつがいる高校と試合だったんだよ」
「そうだったんだ……。それは残念だったね……すごく」
きっと、悔しい想いをして。
負けたくないっていう強い想いで。
いままでたくさん練習してきたんだろうな。
毎日、放課後に昇降口で陸斗くんを待ってる間、あたしはサッカー部の練習も見てたから。
夏樹が一生懸命に練習してるのも。
誰よりも頑張ってる姿も、この瞳で見て知ってたよ。
「今度こそ勝ちたかったのに……ケガなんて本当ツイてないよな」
そう言って夏樹は、あたしの少し前を歩いていく。
そのときちょうど、道端に咲く黄色いたんぽぽが視界に入った。
たんぽぽ……。
「夏樹っ」
「ん?」
「うちの親がね、あたしに小さい頃よく“たんぽぽのように生きなさい”って言ってたの」



![春、さくら、君を想うナミダ。[完]](https://www.no-ichigo.jp/img/issuedProduct/10560-750.jpg?t=1495684634)