描きかけの星天


冷蔵庫の中をごそごそしていたヨシ兄は、両手に一本ずつ缶ジュースを持ってきた。
ちょうどコウちゃんの背中越しに、にやりと笑みを浮かべたヨシ兄が近づいてくるのが見える。



何かを企んでいるのだろう。

内心ドキドキしながら、ノートへと向かうフリをしてヨシ兄を窺う。



やがてコウちゃんの真後ろに立ったヨシ兄が、両手に持った缶ジュースをそっと掲げる。コウちゃんの頬をめがけて缶ジュースを振り下ろそうとするのと同時に、コウちゃんが振り向いた。



「うわっ!」

「あまいんだよ!」



ヨシ兄が後ろに飛び退いたところに、コウちゃんが飛びかかる。フローリングに体のどこかをぶつける音を響かせてるのに、二人とも笑ってる。プロレスごっこのつもりか。



フローリングに敷いてあるい草のカーペットが、私を乗せたままズルズルと横滑り。
蹴飛ばされた座卓が、座ったままの私を窓際へと追いこんでいく。焼けたフローリングに足が触れて痛い。



「はい、終了!」



座卓を両手で叩いて訴えると、二人は目を丸くして固まった。
額に汗を浮かべながら。