描きかけの星天


「おせーよ、待ちくたびれて眠くなってきたところだ」



ずっと先に行ってしまったと思っていたヨシ兄は自転車を停めて、バス停の屋根の下で涼んでいた。

バスを待つ人たちの中にうまく溶け込んでいたから全然気がつかなくて、危うく通り過ぎてしまいそうになった私たちは慌てて急停止。周りの人たちに、くすっと笑われてしまって恥ずかしい。




再び自転車を漕ぎ出したけれど、駅に近づくにつれて人の数も増えてきた。自転車に乗って走りづらくなったから、すぐに自転車を降りて歩くことに。
自転車を押して歩くのは、大きな荷物を押して歩いているようなものだ。勝手だけれどこんな時だけ歩いてる人たちの身軽さが羨ましく思えるなんて身勝手だ。



駅からショッピングモールへと繋がる陸橋を見上げると、ぞろぞろと列をなす人の群れ。
その中に見たことある横顔を見つけた。


離れているけれど見間違いじゃなく、あれは友達の江里だ。江里が笑って見上げた先にいるのは、私たちと同じクラスの男子生徒。