【短編】脇役少女は時を舞う



屯所の敷地内に入ると、ざわめきが聞こえてきた。

「何だ?」

「紗菜!?」

紗菜の体が光輝いている。


「帰らなきゃ、いけないみたいです」

紗菜と目が合った瞬間、私の体も光りだした。

「音っ…」

平助くんの声。

「帰りたくない……でも紗菜を一人には、」

紗菜がこちらを向いた。

「私は大丈夫だよ、音。私だって、音をもう縛りたくないから…自由に、なって?」

いつもの笑顔。
全てを悟ったような。

私たちの体が一層強く光る。

「音っ!!なぁ、音!!」

平助くんが私を呼ぶ。

「嫌っ、帰りたくないっ……」





────目の前が真っ白になった。