「誰かー」
その時だった。後ろから声が聞こえた。
振り返ると、100メートルくらい先で寮母のおばちゃんが手を振っている。
「寮母さん?」
イレーネは首を傾げた。
「どれ」
気付くと横には筋骨隆々の大男がいた。
部隊長だ。
部隊長は息を吸う。
「どうしたー!!」
ビリビリと空気が揺れ、目の前に落ちてきた葉は霧散した。
ものすごい音量だ。
「ど、泥棒が……」
おばちゃんが言い終わらないうちに部隊長は走っていた。
というか、これまたものすごい早さでおばちゃんの横を駆け抜けていた。
これで魔法は一切つかっていないらしい。
「任せろよー!!」
そう叫び声が聞こえたころには部隊長は見えなくなっていた。
規格外にもほどがある。
私は呆気にとられ、何もできなかった。
最初に動いたのはイレーネだった。
「わたしたちもいかないと!」
イレーネは私のローブを引っ張る。
その言葉にはっとする。
そうか、向こうには武器庫がある。
もしも、あの剣が盗まれたら……外交問題。
ましてや、軍属である人間がそんなことをしたらどうなることか。
下手すりゃ戦争。
よくて私の頭と体が永久にさよならすることになるだろう。
まだ死にたくない!
せめて一度ぐらい恋してから死にたい!
それに、それを手伝ってしまったイレーネだってただではすまない。
私ひとりの問題ではすでにないのだ!
「俺も……」
「お、おばちゃんのことは、アンタに任せたわ! ヴィクトール!」
慌てたせいで声が上擦る。
平常心。平常心。
取り敢えず、付いてきそうな馬鹿を引き離さなきゃ。
その時だった。後ろから声が聞こえた。
振り返ると、100メートルくらい先で寮母のおばちゃんが手を振っている。
「寮母さん?」
イレーネは首を傾げた。
「どれ」
気付くと横には筋骨隆々の大男がいた。
部隊長だ。
部隊長は息を吸う。
「どうしたー!!」
ビリビリと空気が揺れ、目の前に落ちてきた葉は霧散した。
ものすごい音量だ。
「ど、泥棒が……」
おばちゃんが言い終わらないうちに部隊長は走っていた。
というか、これまたものすごい早さでおばちゃんの横を駆け抜けていた。
これで魔法は一切つかっていないらしい。
「任せろよー!!」
そう叫び声が聞こえたころには部隊長は見えなくなっていた。
規格外にもほどがある。
私は呆気にとられ、何もできなかった。
最初に動いたのはイレーネだった。
「わたしたちもいかないと!」
イレーネは私のローブを引っ張る。
その言葉にはっとする。
そうか、向こうには武器庫がある。
もしも、あの剣が盗まれたら……外交問題。
ましてや、軍属である人間がそんなことをしたらどうなることか。
下手すりゃ戦争。
よくて私の頭と体が永久にさよならすることになるだろう。
まだ死にたくない!
せめて一度ぐらい恋してから死にたい!
それに、それを手伝ってしまったイレーネだってただではすまない。
私ひとりの問題ではすでにないのだ!
「俺も……」
「お、おばちゃんのことは、アンタに任せたわ! ヴィクトール!」
慌てたせいで声が上擦る。
平常心。平常心。
取り敢えず、付いてきそうな馬鹿を引き離さなきゃ。
