勇者様と恋人宣言―アラサー勇者は恋がしたい―

男は嫌がる様子もなくついてくる。

それどころか嬉しそうにずっと話しかけてくる。


「なー、お嬢ちゃん、これ何?」


「ドクターが武器用に作ったけど、失敗してお掃除用になったゴーレム。
なおモデルは魔法部隊長。だから無駄に筋肉アピールしてくるの」


「これは?」


「魔法部隊長が飛び入り参加で一位になったマッスルコンテストの賞状と副賞のゴールドマッチョ君」


早くイリーネを見つけなきゃ。寮長室についてしまうじゃない。

私はイライラしながら説明をしていく。


「君の名前は?」


「ルーナ。ルーナ=ノクス」


「非常に女性らしい名前だね。歳は?」


「昨日で29歳」


「お、若く見えるね。20代前半の新兵かと思った」


「あのね、あなたはなんなの? さっきからベラベラと質問ばっかりしているけど」


「あ、俺、アルバート=カーティスっていうの」


何処かで聞いた気もするが、やっぱり知らない名前だ。


「質問の意味を履き違えているわね。あなたの名前は?じゃなくて、あなたは何が目的でそうやってベラベラしゃべっているのよ?って意味で聞いているんだけど」

イライラは最高潮に達していた。
魔法の一発でもプチ込んでやろうか。


「目的? 女性の名前を聞くのに理由が要る?」
当たり前だろうと言いたげにアルバートは言う。


途端に鳥肌が立つ。

本気で言ってるの?
これがもてる男というものなのだろうか。
おそろしい。


「アンタがいらなくても私はいるわ。名前や年齢を教える理由なんてないもの。
大体、女性の年齢を聞くのって失礼よ。」