あなたにありがとう


雪斗side


俺は雪斗


幼い頃に捨てられてずっと孤児院にいた


高校生になってから里親に引き取られた


不安もあったけど引き取ってくれた父さんと母さんはいい人で


初めて家族というのを知った


引き取られてからも孤児院のことが気がかりで時々行っていた


社会人になると忙しくてなかなか行けなかったけど

最低でも月に2回は行った


そんなとき、突然彼女に会ったのだ


お昼ご飯ができて皆を呼びに行こうとすると


美智子先生が図書室の方に行くのが見えた


つい気になって美智子先生を呼んでしまった


「美智子先生、どこ行くんですか?」


「翠ちゃんを呼びに行くの」


「翠ちゃん?新しく来た子ですか?」


「そう。1ヶ月前にね」


「俺も行きます。少し話してみたいし」


「じゃ、行きましょうか。人と関わるの苦手みたいなの。必ず図書室にいるのよね」


美智子先生はそう言って少し困った顔をしていた


図書室に行くと静かに読書をする女の子がいた


驚かせないようにそっと声をかけた


「お昼ご飯できたよ。おいで」


すると彼女は
「いらないです。」


そう言った


「でも…」


言おうとした俺の言葉を美智子先生がさえぎった


「翠ちゃん、そろそろ食べないと。体重が何キロ落ちたと思ってるの?栄養剤だけじゃ生きていけないのよ」

「わかってます。でも、やっぱり食事をするのは怖いです。毒なんか入ってないってわかってます。だけど、思い出してしまって…嫌なんです」


「一人で抱え込まないで。ご飯が少しずつでも食べられるようにみんなでがんばろう?」


「…」


彼女はなにも言わなかった


これには美智子先も困った顔をしていた


美智子先生に服の袖を引っ張られたので


美智子先生に続いて図書室から出た


図書室から少し離れたところで美智子先生に質問した



「あの子はどうしたんですか?」


「彼女は父親に毒を盛られて殺されそうになったの。父親は逮捕されたし、母親は再婚して翠ちゃんを引き取れないと言って彼女はここにきたの」


すごく驚いた


どく?


あまりにも酷い


俺は彼女のくすんでしまった瞳を思い出していた


「美智子先生、あの子俺が引き取ります。ダメですか?」


「え…?」


「俺ももう社会人です。一人養うこともできます!育てることが難しいと分かっています。でも彼女を救いたいです」


「あなたの強い目信じるわ。でもね、勝手に決められる事ではないの。だから少し預かってくれる?それで、様子を見ましょ」


「ありがとうございます!」


そして、俺は彼女のもとへ行って声をかけた


「外食しに行こうか」


彼女は目を丸くしていた